
「○○ちゃんはできてるよ」と言いそうになったら、思い出してほしいこと
2026-08-02
はじめに
「ほら、○○ちゃんはもう自分で着替えてるよ」
「お兄ちゃんはできてたのになあ」
言ったこと、ありませんか。私はあります。
悪気なんてないんですよね。むしろ「あなたにもできるはず」という期待から出る言葉。やる気を出してほしくて、つい比べてしまう。
でも、比較の言葉は、親が思っているのとまったく違う形で子どもに届いています。
今日は「比べない声かけ」の話です。
比較は、短期的には効く。だから厄介
正直に言うと、比較の言葉は「効く」んです。その場では。
「○○ちゃんはできてるよ」と言われた子は、悔しさや焦りで動くことがあります。親からすると「ほら、言えばできるじゃない」。
でも、心の中で起きていることは別です。
子どもが受け取っているのは「頑張ろう」ではなく、**「今の自分じゃ足りないんだ」**というメッセージ。
これが積み重なると、「誰かより上にいないと認めてもらえない」という条件付きの自信が育ちます。そして条件付きの自信は、誰かに負けた瞬間に崩れます。
「あの子よりすごいね」も、実は同じ
意外な落とし穴がこちらです。
「○○ちゃんより上手だね!」
けなすどころか、褒めています。子どもも喜びます。
でもこの言葉が教えているのも、結局は「価値は人との比較で決まる」というものさしです。
勝っている時は気持ちいい。でも、そのものさしを持った子は、負けた時に「自分には価値がない」と感じてしまう。
上げる比較も、下げる比較も、根っこは同じなんです。
比べる相手を「昨日のその子」に変える
じゃあ何と比べればいいか。
答えはシンプルで、昨日のその子です。
- 「○○ちゃんはできてるよ」→「昨日より、ボタン1個多くとめられたね」
- 「お兄ちゃんはできてたのに」→「先週は途中で泣いてたのに、今日は最後までやったね」
- 「1番だったの?すごい!」→「前より速くなってるの、自分でわかる?」
昨日の自分と比べられた子は、負けることがありません。小さくても前に進んでいれば、それが全部「成長」としてカウントされるからです。
保育の現場でも、この声かけに変えるだけで子どもの表情が変わる場面を何度も見てきました。
いちばん難しい「きょうだい比較」はどうする?
「お友達と比べない」はできても、きょうだいは同じ家の中にいるので、比較が生活に埋め込まれています。
「お姉ちゃんはもう食べ終わったよ」「弟くんのほうが早いね」——毎日の何気ない実況が、実は比較になっていることも。
きょうだいで気をつけたいポイントは2つです。
1つ目は、「それぞれの得意」を言葉にすること。「お姉ちゃんは絵が丁寧だね。あなたは色の選び方が面白いね」。同じ土俵で順位をつけず、別々の物差しで見る。
**2つ目は、上の子の「できて当たり前」を拾うこと。**下の子は初めてできた時に大きく褒められますが、上の子の「もうできること」は空気になりがちです。「毎朝自分で支度してるの、すごいことだよ」と、当たり前になっていることこそ言葉にしてあげてください。
比べてしまった日は
とはいえ、比較の言葉はとっさに出ます。私も完全にはやめられていません。
言ってしまった日は、後からこれだけ足せば大丈夫です。
「さっきは○○ちゃんの話をしちゃったけど、あなたは前よりずっとできるようになってるよ」
言い直す姿を見せることも、子どもにとっては「間違えても修正できる」という学びになります。
おわりに
子どもが本当に欲しいのは、「誰かに勝つこと」ではなく「今の自分を見てもらうこと」。
花の咲く時期がそれぞれ違うように、子どもにもその子の季節があります。
比べる相手は、隣の子ではなく、昨日のその子。
今日も、おつかれさまでした。
めろん|保育士資格・保育士経験10年以上。5歳・6歳の娘を育てるママ。保育士の視点と母の視点から、子育てが少しラクになる話を書いています。
X(Twitter)→ @happycherish809