
「教育にいい絵本」より大事な、たった1つの選び方
2026-07-30
はじめに
本屋さんや図書館の絵本コーナーで、どれを選べばいいか迷って立ち尽くしたこと、ありませんか。
「語彙が増える絵本」「賢い子が読んでいる絵本」「〇歳までに読みたい100冊」——情報はたくさんあるのに、選ぼうとするほど、わからなくなる。
今日は、絵本選びの基準がぐっとシンプルになる話をします。
先に結論を言うと、いちばん大事な基準は**「その子が好きかどうか」**。これだけです。
「いい絵本」を読ませたい気持ちの、ちょっとした落とし穴
「せっかく読むなら、学びのある絵本を」と思うのは自然なことです。
でも、大人が「ためになりそう」で選んだ絵本を、子どもが気に入るとは限りません。そして、興味のない絵本をどれだけ読んでも、子どもの中にはあまり残りません。
逆に、大人から見たら「これ、何がいいんだろう?」という絵本でも、子どもが夢中なら、そこからたくさんのものを吸収します。言葉も、想像力も、絵本を好きになる気持ちも。
絵本の教育効果は、内容の立派さではなく、子どもの夢中さに比例する——保育士として、たくさんの子と絵本を見てきて、そう感じています。
子どもの「好き」の見つけ方
とはいえ、子どもの好みがまだわからない時期もありますよね。そんな時のヒントです。
1. 図書館で「子どもに選ばせる」
買うと失敗が怖いですが、図書館なら何冊でも試せます。棚の前に立たせて、本人が手に取ったものをそのまま借りる。大人の目には偏って見えても、それがその子の「今の好き」です。
2. 好きなものつながりで選ぶ
電車が好きなら電車の絵本、動物が好きなら動物の絵本。物語としての完成度より、「好きなものが載っている」ことのほうが、小さい子には入口として強力です。
3. 反応が良かった絵本の「隣」を探す
気に入った絵本があったら、同じ作者・同じシリーズ・似た絵柄をたどってみてください。「好き」の地図が少しずつ広がっていきます。
年齢の目安は「参考程度」でいい
絵本の対象年齢表示、気になりますよね。
でも、対象年齢はあくまで目安です。5歳が赤ちゃん絵本を懐かしんで読んでも、3歳が長いお話をじっと聞いても、どちらも何の問題もありません。
特に「下の年齢向け」の絵本を選ぶことを、後退のように感じる必要はまったくありません。安心できる絵本に戻るのは、子どもにとって充電のようなものです。
「怖い絵本」「悲しい絵本」を選んでいい?
子どもがオオカミの出る話や、悲しい結末の絵本を好んで選ぶことがあります。「こんな怖い話ばかり選んで大丈夫かな」と心配になる親御さんもいます。
実は、怖い・悲しいという感情も、絵本を通して安全に体験できる貴重な機会です。現実の怖さは自分でコントロールできませんが、絵本の中の怖さは、ページを閉じればいつでも終わらせられます。この「安全な範囲での感情の練習」は、発達にとって大切な役割を持っています。
本人が怖がって拒否するようなら無理に読む必要はありませんが、「怖いのが好き」で選んでいるなら、そのまま付き合ってあげて大丈夫です。
きょうだいで好みが全然違う時
上の子は乗り物図鑑ばかり、下の子はふわふわした動物の絵本ばかり——好みが正反対のきょうだいも珍しくありません。
無理に共通の1冊を探す必要はなく、それぞれの好きな絵本を、それぞれのタイミングで読んであげるのが一番です。時には上の子の乗り物図鑑に下の子が興味を示したり、逆のことが起きたりもします。好みが違うことは、お互いの世界を知るきっかけにもなります。
おわりに
絵本選びに迷ったら、思い出してください。
名作リストの100冊より、その子が「もう1回!」と言う1冊。
大人の「読ませたい」より、子どもの「読みたい」。
それさえ合っていれば、絵本選びに失敗はありません。
今日も、おつかれさまでした。