
「また怒りすぎた」と、寝顔に謝った夜に読む話
2026-07-17
はじめに
「なんであんな言い方しちゃったんだろう」
寝顔を見ながら、心の中で謝る。
「明日は怒らないようにしよう」と決めたのに、次の日もまた同じことで声を荒げてしまう。
——そんな夜、ありませんか。
今日は、しつけ・叱り方のお話を始める前に、どうしても先に伝えたいことがあって、この記事を書いています。
叱り方のテクニックの前に、まず、怒ってしまうあなた自身の話です。
「叱る」と「怒る」は、違うと言うけれど
子育ての本にはよく、こう書いてあります。
「叱るのは子どものため、怒るのは自分のため。怒らずに叱りましょう」
正論です。正論なんですが——私はこの言葉、あまり好きではありません。
だって、毎日いっぱいいっぱいの中で、「怒り」と「叱り」をきれいに分けられる人なんて、ほとんどいないからです。
保育士として10年以上働いてきた私でも、わが子相手だと、感情が先に出る日があります。プロとして何百人の子どもに関わってきても、です。
よその子には冷静になれるのに、わが子には怒ってしまう。それは愛情が足りないからではなくて、近い存在だからこそ、感情がまっすぐぶつかるんです。
怒ってしまった日に、自分を責めなくていい理由
ひとつ、知っておいてほしいことがあります。
子どもにとって大事なのは、「一度も怒られないこと」ではありません。
**「怒られたあと、ちゃんと関係が元に戻ること」**です。
親が怒る → 気まずい時間がある → でも、ごはんを一緒に食べて、お風呂に入って、いつもどおりの夜になる。
この「ちゃんと元に戻る」という経験を繰り返すことで、子どもは「多少ぶつかっても、この関係は壊れない」という安心感を学びます。
心理学ではこれを「関係の修復」と呼びますが、難しい話は抜きにしても——
怒ってしまった日があっても、そのあとの「いつもどおり」があれば、大丈夫なんです。
それでも苦しい夜のための、3つの小さなこと
とはいえ、自己嫌悪の夜はしんどいですよね。そんなときのために、3つだけ。
1. 「怒りすぎた」と気づけている時点で、大丈夫
本当に危ないのは、怒りすぎに気づかなくなることです。寝顔に謝っているあなたは、ちゃんと子どもの心を見ています。
2. 謝りたくなったら、翌朝、言葉で伝えていい
「昨日は言いすぎたね、ごめんね」——親が謝る姿は、子どもにとって「間違えたら謝ればいい」という何よりのお手本になります。しつけの絵本を10冊読むより、伝わります。
3. 怒る回数を数えない
「今日も3回怒っちゃった」と数えはじめると、苦しくなる一方です。数えるなら、笑い合えた回数のほうを。
怒りが爆発しそうな「その瞬間」にできること
夜の話をしてきましたが、最後に「今まさに怒りが噴き出しそう」という瞬間の話も。
怒りのピークは、実は長く続きません。よく言われるのは6秒。この数秒をやり過ごせるかどうかで、その後の展開が変わります。
私が使っているのは、(安全を確保したうえで)その場を離れることです。台所に立つ、窓を開ける、トイレに行く——物理的に一歩動くだけで、怒鳴る直前の呼吸が一度リセットされます。
それから、可能なら「ママ、今怒りそうだから、ちょっと深呼吸するね」と実況してしまうのもおすすめです。変な話に聞こえますが、これは子どもに「感情は爆発させる前に、自分で扱えるもの」という見本を見せていることになります。怒りを我慢する姿より、怒りを整える姿のほうが、ずっと教育的なんです。
それでも爆発する日はあります。その時は、この記事の最初に戻ってください。関係は、修復できます。
おわりに
明日からこのシリーズでは、「伝わる叱り方」の具体的な話をしていきます。
でも、テクニックはあくまでテクニック。
その前提として、怒ってしまう日があるあなたは、ダメな親ではありません。毎日ぶつかるくらい、真剣に向き合っている親です。
今夜、寝顔に謝ったなら、それで十分。
明日、いつもどおりの朝を迎えてあげてください。
今日も、おつかれさまでした。